君と乗り越えた時
今の二人の喧嘩も、結衣ちゃんが絡んでいた。
なんだろう…。なんだか恭弥くんのことも、マネージャーの子のことも、全てが繋がっているような、そんな予感がしてならなかった。
「誰にでも知られたくない過去や隠しておきたいことってあると思う。だから、私は無理に知りたいなんて言わないよ。だけどね、今のことは、一緒に解決していこうよ。」
抱きしめていた身体を離し、今度は翔真の顔を見つめれば、目が合って私は微笑んだ。
きっと、私が今の状況に不安になっていたら、あの子の思う壺なんだと思うから。
負けたくない…。
「手がかりがあの子しかないなら、今はあの子の要求を聞いて、情報をもらうしかないと思うんだ。」
「でも…、例えば前みたいに家に入れろとか、そういうことを言われて、莉乃を…、悲しませることになるかもしれない。」
「大丈夫だよ。」
翔真のこと、信じているから。大丈夫。
強がりでもなんでもなく、何も心配することなんてないって心から信じているから。
そんな気持ちを口にしなくても、翔真もわかってくれたみたいだ。
「分かった。でも莉乃、一つだけ。昨日も言ったけど、あいつには気をつけてー…。」