君と乗り越えた時
一体、何が狙いなんだ。
どこまで知っていて、なんで知っているのか。
これ以上、莉乃を傷付けたくないのに。
たくさん苦しんで辛いことを乗り越えた莉乃には、穏やかな日々を過ごさせてあげたいのに。
俺のせいで、また傷付けることになるかもしれないという恐怖に襲われた。
そのまま、とりあえず足を動かして向かっているのは莉乃の家。
香水の匂いをさせたまま莉乃の家に行くのは嫌だったけど、それよりも一刻も早く莉乃に会いたい気持ちが勝って、着ていた上着を近くのコンビニのゴミ箱に捨ててから向かった。
莉乃の家に向かっている間も、ずっと頭の中を占めていたのはマネージャーのこと…。
俺は、これからどうしたらいいんだろう。
そう悩んでいたけど、莉乃の家に着いて話をしたら決意できた。
俺を信じてくれると言ってくれた莉乃を、俺は絶対に手放したりしない。
これ以上、傷つけることなく、この問題を解決しよう、そう心に誓った。