君と乗り越えた時


次の日、約束通り正午を少し過ぎた頃、ピンボーン、とインターホンが鳴った。

そのまま外に出るつもりで支度を済ませ、玄関ドアを開けると、そこに立っていたのは結衣だった。


「え、結衣?恭弥ならいないけど…。」

「ごめん、恭ちゃんと連絡が取れないから来ちゃった。少し中で待っててもいい?」

ドアの向こうにいたのが、思っていた人物と違ったことに少し戸惑ったけど、明らかに元気がない結衣の姿を見て、落ち着きを取り戻した。


「それはいいけど。俺、このあと出掛ける用事があって。」

「え、ごめんね。じゃあ今日は帰ろうかな。」

「いや、家にいてもいいよ。むしろ俺がいない時に恭弥に会えた方が良くない?」

恭弥が必ず帰ってくる保証はないけど、俺も早く喧嘩した二人が仲直りできたらいいと思っていた。


「じゃあ、夕方くらいまでいてもいい?」

「うん。どうぞ。」

結衣はゆっくり家に入り、靴を脱ぎ、脱いだ靴を揃えて端に寄せているのを見ていると、再びインターホンが鳴った。


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