君と乗り越えた時
「ショック、だよね。自分のせいで大切な人が傷付いたなんて知ったら。」
「…っ、」
「相田さんを守りたいなら、もうこれ以上、傷付けられる前に手放したら?」
いつもと違い、優しく悟るように話すマネージャーは、じっと俺の顔をみつめている。
そのまま俺の手を握るつもりだったのか、ゆっくり近付いてくる彼女の手に、俺は捕まったりしない…。
そんな誘惑になんて、引っかかったりしない。
「俺は絶対に莉乃を手放したりしないよ。だからこんなことに意味がないと思う。」
「翔真くんって、もっと流されやすい人なんだと思ってた。」
「流されやすいというより、流された方が楽だったんだよ。」
流されやすいと思った、というマネージャーの言葉から、大体の狙いは分かった。
俺が、もっと言うことを聞いて、うまく俺たちの仲を引き裂いて、そこに漬け込もうとしていたんだろう。