君と乗り越えた時
「俺さ、2年生からサークルもコーヒーショップのバイトも辞めようと思ってるんだ。」
「え?」
「元々、サークルは遅くても3年に上がる前に辞めるつもりで入った。運動がしたかっただけだし。だけど、近くの小学生向けのサッカークラブのコーチのバイトに誘われたんだ。」
彼の話すトーンは少し嬉しそうだった。
「そっちのバイトをやろうと思って。運動もできるし、コーチなら教師になるための勉強にもなると思って。」
「たしかに、いい経験になるね。」
「うん。この大学に入った時は、教師になれたらいいなくらいの気持ちだったけど今は違う。これは俺だけの夢じゃなくて、莉乃の夢でもあるから絶対に叶えたいんだ。だから勉強に集中したいなって。」
翔真は海に行った日に、たしかに私の分まで夢を叶えると、そう約束してくれた。
そこまで真剣に考えてくれた彼の気持ちがとても嬉しい…。