君と乗り越えた時
「で、サークルを辞めるって聞いたマネージャーの子が、最近ずっとこんな感じで、頻繁に連絡してくるんだよね。」
…なるほど。
「莉乃が休学して大学に来ていないから、俺たちが別れたって噂が流れててさ。その子もそれを狙って連絡して来てるんだと思う。」
「そうなんだ…。」
噂って、やっぱり怖い…。
噂ほど信用できるものはないし、それを信じてさらに噂を広げてしまう人のことも正直、理解できない。
噂をされているという不安が顔に出てしまっていたようで、翔真は少し切なげに笑うと、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「莉乃が大学に戻ってきたら、そんな噂もなくなるよ。噂とかどうでもいいし。俺は莉乃が好きで、莉乃も俺が好き。その事実だけあれば問題ないよ。」
「うん…。私も同じ気持ち。」
噂の話を聞いた時は不安になってしまったけれど、目の前にいる翔真がいれば、絶対に大丈夫だって思えた。