君と乗り越えた時
その音を聞いて、私は早く翔真に会いたい気持ちから、ベッドを出て玄関へと向かった。
「翔真…。」
靴を脱ぐ彼の姿を見て、声をかけると、起きてたんだ、と嬉しそうに笑ってくれた。
「なかなか眠れなくて。よかった。ちゃんと来てくれて…。」
「当たり前だよ。今すぐ抱きしめたいけど、お酒臭いから少し待ってね。」
「うん…。シャワーどうぞ。」
翔真は荷物を置いて浴室へと向かっていった。
……え。
翔真が私の横を通る時、ふわっとお酒とは違う甘い香りがした。
いつもの飲み会ではそんなことなかったのに。
今日は、いつもより女の子との距離が近かったのかもしれない…。
一度そう考えてしまうと、また少しだけモヤモヤが積もってしまった。