センセイ、ありがと。
ふと見せる悲しそうな顔は、気のせいかもしれなかった。


角度的に見えただけかもしれない。



「教室閉めるぞー」


ある日のことだった。


いつも通り教室の空を確認して、ドアを閉めようとした時


1人の女子生徒、水無月が勉強していた。




「あ、センセイ

ごめんなさい。すぐ出るね。」



ちょっとまて


どうした?




「センセイ?」



手首を掴んでいた。





「なんで、泣いてる?」




「え……」





見間違いじゃない。確実に。我慢したようだけど、まだ目元が反射して光ってる。




「大丈夫か?」




他に何を言えば正しいのか、分からなかった。





「センセ、なんで気づいたの」





「目が潤んでたから。」





「そっか」





「ねえ、センセイ、私の名前、どう思う?」





どんな意図だろう。






俺は、





言葉の意味では、寂しいのかも知らない、けど、






「綺麗だと思うよ。」
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