王子は私のモノなんです!
公爵令嬢として閨の教育はもちろん受けてはいるが、この初夜が終わるまでの全てを自分で指示するという行為が余りにもはしたないと気付いてしまった。

「カテリーナ」
「ひぃっ」

耳に吐息を吹き掛けるように囁かれ思わずセルジオの方を向く。
そこには、ルビーのような瞳がギラギラと妖艶に輝き細められ、口元は隠しようのないほど弧を描いていて。

声色と表情の違いに驚き、そして見てしまったこの瞳からもう逸らせない。

“···これが、本当に私のモノなの?”

そう考えて小さく身震いをする。

チガウ
チガウチガウチガウ

「あ、あぁ、あぁあ···」

この瞳は、捕食者のーーー···


ペロリとわざとらしく舌なめずりされ、クスクスと笑われる。

「ずっと尽くせと仰られていましたね。ずっと俺は貴女のモノだと欲せられていましたね。名実共にやっと俺は貴女のモノになりました、さぁ、貴女の次の望みは?」
「あ、ちが···わた、私は、その」
「怖がらなくて大丈夫ですよカテリーナ。今日のこの瞬間を、貴女のモノになれるこの瞬間をずっと望んでいたのは俺の方なんですから」
< 12 / 40 >

この作品をシェア

pagetop