私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-
 口々に聞こえる自分の話にショックを受ける。

 ジルの友人にそんな風に見られていたなんて思っておらず、ましてや私のせいでジルの評価まで下げてしまっていただなんて。

“行き遅れの義姉って、そんな評価になるのね”


 もしかしてジルもそう思っていたのかしら?

 ふとそんな不安が私に過る。


「な。バージルはどう思ってんの?」
「俺は――」

 
“き、聞きたくないわ!”


 ジルの想いを聞くのが途端に怖くなった私は、慌てて扉から離れる。
 そんな私に、何故かリースの方が泣きそうな顔をしてしまっていて。

“これ以上心配はかけられない”

 これでも私はこのヘレニウス伯爵家の令嬢なのだ。
 精一杯のプライドを顔に張り付け、軽く咳払いをして。


「……ごめんなさい、やっぱりお茶はリースだけで持っていってくれるかしら」
「お嬢様」
「紅茶の淹れ方は、その……、また! また今度お願いするわ」


“ちゃんと私は笑えていたかしら”

 さっと応接室に背を向け早歩きで自室に向かいながらそんなことを考える。


「もしジルにもそう思われていたのだとしたら……」


 私たちは運命なのに。
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