私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-
 一瞬壁が崩れ落ちるのでは、と思ったが伯爵家の壁は思ったよりも頑丈だったのか崩壊はせず、丁度私が通れるくらいの穴が開いていた。


「安心して、ジル! 私よ」
「安心できる根拠を出せ、今のところ何一つ安心できる要素がない」

 どうやらベッドの上で読書をしていたらしいジルは、壁を壊して入ってきた私の姿を見て過去一大きなため息を吐いて。


「なんでこんなことになるんだ……」
「だってドアを開けてくれるかわからなかったんだもの」
「そもそも! 鍵なんて! かけてねぇんだって!!」
「え」

 呆れを通り越して絶望の表情を浮かべ項垂れ頭を抱えてしまった。


“というか、鍵をかけてないの?”

「防犯的によろしくないのではなくて?」
「義姉さんが壁から入ってくるって知っていたら鍵をかけていたよ」

“それって、逆に言えば私のためにドアの鍵を開けてくれていたってこと?”


 想像もしていなかったジルの言葉にぽかんとしていると、チッと舌打ちをしたジルが頭をガリガリと掻きながら廊下に顔を出して。


「バージル坊っちゃま、何かありましたか!?」
「いや、問題ない。トラブルではあるがなんとかする」
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