私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-
 恐らく壁をぶち壊した音で駆けつけた執事をそのまま返し、ガチャリと鍵をかけて戻ってきた。


「……怪我は?」
「え? あ、私は全然」
「そう」

 呆れながらも手を差しのべてくれたジルの手に自身の手を重ねると、そのままグイッと抱き起こしてくれる。


「……で、これ、何」
「!」

“そ、そうだわ! 目的を忘れるところだった!”

 流石に引いた顔をしたジルは、それでもせっせと私の夜着についた壁を払ってくれつつそう素っ気なく聞いてきて。


 ――今晩、私は運命という根拠を提示するために。

「貴方の運命が夜這いに来てあげたわよ!」
「は?」

 ニッと笑顔を向けると、半眼になったジルと目が合うが、そんなことお構い無しに私は彼の腕を掴んでジルのベッドに無理やり引っ張って行った。


「本気?」
「えぇ。ジルが言う根拠を提示する方法はこれしかないって、そう思ったの」

 私たちが運命ならば。

「きっと今晩子供が出来るわ!」
「…………は?」
「私たちが運命なら、きっと一晩で子供が出来るの!」
「はぁ」
「それが、私が導きだした運命の『根拠』よ!」
「意味がわかんね……、ッ!」

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