私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-
「それも根拠なんてねぇんだよ」
「運命じゃないなら諦めるしかなくて」
「だからその理屈の根拠は何なんだ!?」

 苛立ったように声を荒げたジルは、私の瞳をじっと見つめる。
 その時今日はじめてジルの瞳をしっかり見た気がし、そして彼の瞳が僅かに揺れていることに気が付いた。


「子供なんて出来る時は出来るし、出来ない時は出来ないんだ」
「それは……」
「だったらなんでそれが根拠になるってんだよ!」

“そんなこと、言われても困る”

 何故だかわからない怒りを向けられ戸惑う。
 根拠なんてわかんない。

 私は運命だと思ったんだもの。

 だって私は、はじめて会ったあの14年前のあの日からずっと。


「ずっと、ジルのことが好きなんだもの……!」

 それは、ずっと『運命』という建前に隠した本音。

 
「でも、もしも運命じゃないなら、ただの義姉で七歳も年上の私をどうやって好きになって貰ったらいいかわからないんだもの~~~っ!」

 うわぁん、と大粒の涙が私から溢れる。
 一度決壊してしまったからか、全然止まる様子のない涙がとめどなく流れて。


「……なら、最初からそう言えよ」
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