私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-
 何一つすりおろせておらず、ゴロゴロした塊ばかりで食べ辛かったはずなのにジルは全部食べてくれて。

「本当に大好きよ」


 それからいつも体調が悪そうな時はこの特製すりおろし林檎を作ってきた。
 
 そのお陰か、貴族令嬢の私が料理を出来るように……というにはすりおろすだけのこの林檎だけなのだが……それでも出来るようになったのだ。


「まぁ、振る舞うのはジルと、いつか生まれる私とジルの子供にだけだけど」

“……っと、早くジルに持っていかなくちゃ!”

 きっと私が側にいなくて心細い思いをしているだろう。
 手短にお礼を言ってそのすりおろし林檎を持った私が再びジルの部屋に飛び込むと、少しギョッとしたジルと目があって。


「またそれか」
「大好物でしょ? ほら、体調が悪い時はこれなんだから!」
「不味いんだよな……」
「え?」
「……いや、なんでもない」

 
 ズイッと差し出すと、渋々と言った様子で受け取ったジルからスプーンだけを奪う。

「はい、あーん」
「……」
「はい、あーん」
「……」
「ジル?」
「本当、どこまでも子供扱いなんだな」

“?”
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