私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-
 私のことを好きすぎて恥ずかしがっているせいか、なかなかあーんしてくれなかったジルが、よくわからないことを言いながら諦めたようにやっと口を開いてくれて。


「美味しい?」
「そもそも俺は体調悪くない」
「強がっちゃって、可愛いんだからっ」
「……」


 ジルが全部食べきるまで、私は至近距離で眺めながらあーんし続けたのだった。 

 

「ん、眠い……!」

 昨日も夜遅くまで作業していたせいで寝坊してしまった私がのそのそと部屋を出る。

“お腹すいたな”

 朝ご飯の残りでもないかと思った私がキッチンへ向かって歩いていると、前方には愛する金髪が見えた。

「ジル!」

 やっぱりもうどう考えても運命だ! とテンションの上がった私が一目散に駆け出し抱き付いた、の、だが。


「義姉さん!?」
「……あ、お邪魔しています」
「!!」

 そこにいたのは、ジルと、そしてジルと同年代の男の子たちが数人。

“来客!”

 運命とマナーは別物。
 やってしまったと焦った私は、まるで何事もなかったかのようにそっとジルから離れカーテシーをした。

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