私がアナタの運命です!-運命だから当然なのに、根拠を求められても困るんですがっ-
「まぁ、バージルのお友達ですの? いらっしゃいませ」
「あ、どうも……」
「突然押し掛けてすみません」
「学園時代の友人だ。仲間内の一人の婚約が決まったからその話で来てくれたんだ」
「そうだったの、邪魔してごめんなさい。ごゆっくりなさってくださいね」

 にこりと微笑んだ私は初っぱなの失敗は別として、なんとかお淑やかな令嬢を気取りつつジルとジルの友人たちの前から離れて。


“完っ璧では?”

 思わず自画自賛していた。


「ジルの未来の妻として、なかなかいい笑顔だったんじゃないかしら!」

 初っぱなの失敗も、つまりそれだけ仲睦まじいということだと考えれば致命的ではないだろう。

 
“見える、見えるわ! あの友人たちが祝福の花を私とジルの結婚式で投げる姿が……!!”
 
 
 ならばここでもっと印象を良くしたい。

「だってジルの友人たちなんだもの!」

 何かいい手はないかしら、と辺りを見回した私の目に飛び込んできたのは、今から持っていくのだろう紅茶のセットが乗ったカートを押すメイドのリースだった。

「あ、ねぇ!」
「おはようございます、お嬢様」
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