心の中だけうるさい私はウチの坊っちゃんが可愛くて仕方ない
 手を引かれながらベッドに連れられると、まるでエスコートされているようでなんだかくすぐったい。

“こんなに立派になられて……”

 坊っちゃんのベッドに、ベッドメイク以外で触れるだなんておこがましい気もしたが、ずっと立ったままの行為を望むご令嬢が何人いるだろうかと考え、促されるまま大人しく座った。


 そのままバサリと上着を脱いだ坊っちゃんは、ベッド横の椅子に投げるようにかける。
 
 7歳の頃のイメージが強いせいか可愛いとばかり思っていたのだが、18歳になられた坊っちゃんの体はしなやかな筋肉がついており、いつの間にか大人の男性になっていて。
 
 その体を直視するのが恥ずかしくなり、私は思わず目を逸らしてしまった。

 
「……ま、まさか恥じらっているのか?」
「そのまさかです」

 残念ながら表情筋はピクリとも動かなかったが、私の様子で察したらしい坊っちゃん。

 私の返事を聞いた坊っちゃんの頬がじわじわと赤らむ。

「そうか、そうかそうか!いい傾向だ」

 一気にご機嫌になった理由はわからないが、坊っちゃんが嬉しいと私までも嬉しくなった。

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