心の中だけうるさい私はウチの坊っちゃんが可愛くて仕方ない
 にこにこと満面の笑みを溢していた坊っちゃんだが、私と目が合った瞬間ハッとし表情を引き締める。

“微笑ましかったのですが、残念ですね”

 きっと格好つけたいのだろう。
 もっと見ていたい気もしたがそういうお年頃なのだ、仕方ない。


「さ、再開する」
「はい」
「キッ……ス、もして、いい……よな?」
「私と唇を合わせるのは構いませんが、『キッス』と仰られるより『キス』と端的にお話になられる方がスマートかと思いました」
「言い淀んで悪かったなッ!」

 折角表情を引き締めたのに、すぐまたいつもの可愛いお顔に戻ってしまわれた坊っちゃんは、その勢いのまま私の肩を引き寄せる。


「んっ」

 そのまま唇で塞がれると、私の口から小さな声が漏れた。
 その声を聞いた坊っちゃんは、一瞬ピタリと停止しそのまま角度を変えて深く深くと口付ける。

 貪るように唇を食まれ、私の唇を坊っちゃんの舌がつつき、求められるまま薄く唇を開くとすぐにぬるりと舌が口内に入れられた。

「……ぁ」

 口付けを交わしつつ体重をかけられた私は、気付けば坊っちゃんに押し倒されていて。

「いいんだよな?」
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