心の中だけうるさい私はウチの坊っちゃんが可愛くて仕方ない
“もしかして、挿入の仕方がわからないのかしら”

 指は挿入出来たのだから場所はわかるはず。
 ならば後は腰を進めるだけで合体成立だと思うのだが、ずっとぐちゅぐちゅ音を響かせるだけ。

「坊っちゃん、もしかして角度が」
「違う、挿入角度に手こずってるんじゃない」
「そうですか」

 親切心で口を開くがあっさりと否定され、ますます首を傾げていると。


「挿れたら、それは本番だろう」
「はい」
「本番は、結婚相手としかしないつもりだ」
「そうなのですか」

“まぁ、場所もお分かりになっておられるようですし。ポテンシャルのある私の坊っちゃんなら問題なく初夜も終えられるでしょう”

 ウチの坊っちゃんがそんな失態をするはずもないと考え直し、私の役目が終了したと察した。

“少し残念……だなんて、思うことは許されません”

 私は一瞬芽生えたこの気持ちに蓋をし、別の業務へ戻ろうかと思った……の、だが。
 
「?」

 私に覆い被さったまま擦り付けるという行為を続けられ、少し戸惑う。

“そういえば、男性は出してしまわないと終われないのでしたね”
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