心の中だけうるさい私はウチの坊っちゃんが可愛くて仕方ない
“私のように鉄仮面ではなく、きっと花が綻ぶようにふわりと微笑むご令嬢でしょうね”

「……いえ、もしかしたら王子様のように強く麗しく格好いいご令嬢の可能性も」

“そうよ、坊っちゃんほど可愛い人はいないのだから、そんな坊っちゃんを射止めたのはまさに貴公子と思うほどのイケメン令嬢かもしれません”

「……いえいえ、けれど閨教育中の坊っちゃんは大人の色香もお持ちでしたね」

 大人の男性を彷彿とさせるあの色香。
 ならばやはり深窓のご令嬢……?と、心の声との会話に夢中になっていた私は、無遠慮に腕を引かれ路地の隙間に連れ込まれる。

 その突然の出来事に唖然としながら私の腕を掴んでいる相手を見るが……

 
“この三人は誰なのでしょう”

「相変わらずつまんねぇ顔してんだなぁ」
「まぁ、キレイな顔ではあるがな」

 ははっと笑っている男性三人組。
 相手の話しぶりからすれば顔見知りらしいが、私に心当たりは一人もいない。

 
「私は仕事中ですので、お離しいただけますか」
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