心の中だけうるさい私はウチの坊っちゃんが可愛くて仕方ない
 私が彼の専属メイドとして坊っちゃんからの指示を48分ほど待っていると、やっと意を決したらしい坊っちゃんが顔を赤く染め睨みながら口を開いた。


「お、おっぱいを出せ!」
「それは母乳という意味ですか?」
「ぼにゅ……っ!?」
「それにはまず子種を仕込むところからになりますので、十月十日ほどお待ちくださいませ」

“仕方ありません、坊っちゃんの為ですもの。ちょっとどこかで引っかけてきましょうか”

 
 ペコリとお辞儀し部屋を出ようとすると、座っていたソファから転がり落ちそうになりながら坊っちゃんがメイド服のスカートを掴む。
  
 
「ち、ちがっ、待て、待って、お願いイメルダちょっと待って……っ」

 
“あら、少し瞳が潤んでおられるわ”
 
 こういうところはまるで出会ったばかりのようだと思うと苦しいくらいに胸がキュンと締め付けられる。
 

“あの頃もお可愛らしかったのに、今もこんなにお可愛らしいだなんて、私は誰に感謝すればいいのでしょう。神かしら?いいえ、坊っちゃんこそ私の神ですが!”
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