心の中だけうるさい私はウチの坊っちゃんが可愛くて仕方ない
 そろそろ私の額の血管が崩壊しそうだというそんな時、まるで天から舞い降りた天使かGODかと思うほど神々しい声がその場に響いた。

 
「あれぇ?ルーペルトお坊ちゃんじゃん?」
「お前閨教育とかしてもらってんだってなぁ?ちゅぱちゅぱ吸ってんの?それともちゅぱちゅぱ吸われてんのぉ?」


『低俗』という言葉が似合うその単語の羅列。

“私の可愛い坊っちゃんになんてくだらない言葉を聞かせるのかしら、この石ころ三人組は!?”
 
 健やかな坊っちゃんの教育に似つかわしくない単語を聞かせたことに殺意を抱きつつ、驚いて震えるか、可愛いお顔が真っ赤に染まっている……そんな姿を想像した私が隣に立つ坊っちゃんの方を見上げる。
 
「え?」

 ところがそこには、凛とした表情でこの低俗雑草石ころ野郎共に対峙する坊っちゃんがいた。


「……な、なんだよ、お前までそのメイドみたいに表情消すなって」
「鉄仮面がうつったんじゃねぇ?」

 怒鳴るでもなく、怒りを表に出す訳でもない。
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