心の中だけうるさい私はウチの坊っちゃんが可愛くて仕方ない
 じろりと睨みながら言ってやると、坊っちゃんが頬を赤らめて可愛いことを呟いて。

“まぁ!これでこそいつものお可愛らしい坊っちゃんですね”

 ときめいてくださったらしい坊っちゃんに、私もドギュルルルンと大きな心音を響かせた。


 
「……って、そうじゃない!消毒するからっ」

 ハッとし、ぽっと赤らめておられた頬をみるみる青ざめさせる坊っちゃん。
 
「消毒ですか?石ころが破片になったところで誰も困らないと思いますが」
「こいつらのじゃねぇよ、イメルダのだ!」

“私の?”

 ぎゅっと手を握られ、足早に歩きはじめた坊っちゃんをぽかんとしながら見つめてしまう。

 
「お使いの途中ですが」
「後で誰かに行かせる」

 私が転ばない程度の速度で手を引かれると、繋がれた手からじわりと熱が伝い、私の体も熱くなる。
 私の手が熱いのか坊っちゃんの手が熱いのかわからなくて、やはり私は心の中でだけこの現状に大騒ぎした。
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