迷信でマツの木と結婚させられた悲運令嬢、何故か竜王様の嫁になる


(私を悪く書く分には一向に構わないけど、シドリウス様に飛び火したらどうしよう)
 一緒にいるシドリウスに対して悪い噂を立てられでもしたらと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 新聞記者に見つかる前に、一刻も早くここを離れなくては。
 決意を固めたフィリーネはベッドから降りてシドリウスの前に立った。
「助けていただいただけでなく、ご厚意にたくさん甘えてしまいました。シドリウス様の寛大なお心に深く感謝いたします」
 ワンピースの裾を軽く持ち上げて頭を下げるフィリーネ。
 シドリウスはフィリーネに顔を上げるようそっと肩に手を置いた。

「当然のことをしただけだ。まだ身体の傷も癒えていないのだから無理はするな」
「無理などしていません。この通り元気になりました」

 フィリーネは安心させるように、にっこりと笑みを作ってみせる。
 するとそこで、溌剌とした声を上げたのはイシュカだ。

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