迷信でマツの木と結婚させられた悲運令嬢、何故か竜王様の嫁になる
日中も授業以外の休み時間は王太子妃となるための分厚い本を読んだり、公務の準備に追われたりして机にかじりついていた。その上、生徒たちの模範になるよう学園長から頼まれていたので、規律正しい生活も心掛けていた。
周りは教室に根が生えたフィリーネを見て、舞踏会のような楽しい催しには絶対に参加しないと認識していた。しかし、今回のフィリーネは違っていた。
というのも、アーネストから必ず舞踏会へ出席するよう念押しされたからだ。
正直に言えば、アーネストから押しつけられた仕事が複数あり、舞踏会に裂く時間などなかった。けれどもしつこく頼まれたのでフィリーネ断り切れずに参加した。
そしてこのような事態に陥っている。
(殿下に婚約破棄されるなんて想像もしていなかった。しかもその理由がミリエラ様を虐めただなんて。こんなの完全に濡れ衣よ。だって、ミリエラ様とは学年が同じでもクラスは違うし、数回廊下をすれ違っただけなんだから)
突然の婚約破棄と降って湧いた虐め話に、フィリーネは当惑した。だが、すぐにある答えに辿り着き、納得したように目を細める。
「殿下、私はミリエラ様を虐めた覚えはありません。ミリエラ様が寮の門限を平気で破ったり、進入禁止の看板を無視して道を歩いたりしていたので、注意しただけです。監督生として」
フィリーネはフロエンス学園の二年生だが、優秀であるため三年生が請け負うはずの監督生に選ばれている。監督生は学園の規律を守るために素行の悪い生徒へ注意をし、指導しなければいけない。
フィリーネがミリエラに行った内容には正当性がある。