迷信でマツの木と結婚させられた悲運令嬢、何故か竜王様の嫁になる


「おはよう。丁度今、家事精霊がテーブルの上に朝食を置いてくれたところだから、食べると良いよ」
 食堂に入ると、既にイシュカが席に着いていて声を掛けてくれる。
「おはよう、イシュカ。早速いただくわ」
 フィリーネは席に着き、用意された朝食を眺める。

 今日のメニューはエッグベネディクトとタマネギのスープだ。デザートにはフルーツボウルも用意されている。
 エッグベネディクトは見るからに美味しそうだった。
 コーンミールがまぶされた丸いパンの上には、スモークサーモンとポーチドエッグ、その上にソースが掛かっている。横には採れたてのサラダが添えられていた。
 フィリーネはナイフとフォークを手に取り、朝食を食べ始める。
 まずはエッグベネディクトを半分に切り、さらに食べやすいサイズに切ってからスプーンで掬って口に運ぶ。

 半熟でとろっとした黄身はは甘くて、塩気が効いたサーモンとよく合う。パンも固すぎず、柔らかすぎずで丁度良かった。
 ここで出される食事はどれも美味しい。
 フィリーネは家事精霊が作るご飯が大好きだ。

 侯爵邸の食事は名のある料理人が腕を振るってくれていたが、どれもこだわりが強く、味付けは濃かった。
 反対に学園の食事は味付けが単調で、美味しいけれど人工的な味がした。
 だからなのかこれまで口にしたどんな料理よりも、家事精霊が作ってくれた料理の方が何倍も美味しく感じるのだ。
「とっても美味しかったわ」



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