迷信でマツの木と結婚させられた悲運令嬢、何故か竜王様の嫁になる
それもそのはずで、シドリウスはフィリーネが食べたイチゴのように耳の先まで真っ赤になっていたのだ。
シドリウスは手で顔を覆ってから天井を仰ぐ。
長い溜息を吐いた後、声を震わせながら言う。
「フィリーネの破壊力がやばい。……想像以上に可愛すぎる」
「自分で食べるように仕向けておいて何を仰っているんですか」
向かいの席で一部始終を見ていたイシュカは呆れ顔になっていた。
「ご主人様、今日は町へ薬を売りに行く日です。そろそろ出発の準備をしないといけません」
まだほんのりと顔は赤いが、いつも通りに戻ったシドリウスはイシュカの言葉に頷いた。
「確かにもうすぐ市場が開く時間だ。フィリーネ、良かったら私たちと一緒に町へ出掛けないか?」
「一緒に町へ?」