恋を忘れたアラフォー令嬢~遅咲き画家とのひとときの恋
彼は、私の色鉛筆を持ち、私が持つスケッチブックに色を重ねた。
少しずつ距離が近づく。
「これで、少し変わったでしょ。もし気にいったら、ご自分でも試してください」
そう言って微笑んで、少し離れた所に座った。
私は、彼の瞳の奥にある光、真剣な横顔の男らしさ、笑顔の艶やかさに胸の鼓動がドクンと跳ねた。
ずっと忘れていたこの感覚に、戸惑う私がいる。

仕事で忙しくても、週末の事を考えると、元気が出て乗り越えられた。
でも、私のそんな思いも束の間だった。

しばらくすると、彼は来なくなった。
そうだよね。
彼はただ絵を描きに来てただけだから、当たり前か。
残念・・・
久々にドキドキしたのに。
はぁ・・・また恋したいなぁ・・・

家に帰って、自分の絵を眺めていた。
彼の絵、素敵だったなぁ。
もっと本物の絵に触れたい…
そうだ!個展を見に行こう!
急いで、近くで開かれてないか探してみた。
あっ、これいいんじゃないの。
それは、『新人画家達の個展』と、新人画家が出展するグループ個展だった。
これなら色んな人の絵が見れる。
私は今週の休日、行く事にした。
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