恋を忘れたアラフォー令嬢~遅咲き画家とのひとときの恋
私が井上さんに目線を移すと、顔が目の前にあった。
「あ、ありがとうございます」
目を逸らすと、私の手からゆっくりと筆を取り、井上さんは私の手を握った。
私が井上さんの方を向くと、熱を帯びた瞳に見つめられ、目が離せない。
「弥栄子さん・・・」
近づく顔に自然に目が閉じ、唇を重ねた。
熱い口づけの嵐に、体が熱くなっていく。
こんなに情熱的なキスを味わったのは、もうずっと昔のこと・・・

手を引かれ、隣にある寝室行くと、そこには沢山の風景画が置かれていた。
2人は見つめ合い、言葉無く自然に体を求め合う。
絵に囲まれながら、ゆっくりと、そして時に激しく求める彼に、私は翻弄され、高揚感に包まれた。

最後にキスを交わし、井上さんが私を見つめながら、静かに語り出した。
「すみません・・・絵が完成したら、もう会えないと思うと、気持ちを抑えられなくなりました」
「いえ・・・嬉しいです」
「また・・・来てくれますか?」
「もちろんです」
井上さんは嬉しそうに微笑み、私の唇を指でなぞる。
熱が未だ冷めない2人は、貪るように口づけを交わした。
「待ってますから」
2人はしばらく抱きしめ合い、余韻を味わった。
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