ミッドナイト追放ー見え隠れする独占欲ー
恋愛停止状態
隣の部屋から聞こえてくる複数人の笑い声を、スマートフォンをスクロールしながら聞いていた。
聞き慣れた、特別といった色がついた低い声だけが私の胸を高鳴らせる。
鏡を見なくても、今自分の顔が惚けた表情をしているのは言うまでもないこと。
「わっ……いだっ!」
手から滑り落ちたスマホが太ももに直撃し、少しばかりの痛みに大袈裟な声がでる。
誰も見てないのに、恥ずかしくてキョロキョロ部屋中を見渡すと。
「りっちゃ〜ん、帰ってきてるの?」
部屋のドアが開くと同時に軽い口調が聞こえてくる。
信じられないことに、遠慮のない足取りで部屋に入ってきた男の人は、お兄ちゃんの友達、入佐誉君だった。