ミッドナイト追放ー見え隠れする独占欲ー




「また(よう)に無視されたの、りっちゃん。可哀想」


私が泣いていると必ず現れ慰めてくれるのが誉君。

家が隣同士のおかげで、朝家を出るタイミングが同じ日は誉君が途中まで一緒に学校に行ってくれた。



「思春期兄ちゃんもつと大変ですねー、こんなに可愛い妹なのに。」


「お兄ちゃん私のこと嫌いなんだ……」


「それは考えすぎでしょ、マジで。」


雛鳥の巣みたいになるまで、私の頭をしつこく撫でる誉君。


「私……誉君みたいなお兄ちゃんがほしかったなぁ」


「わかる、俺も俺みたいなイイ男をお兄ちゃんにしたい。」


「……」


誉君はたまに、というか。いつも冗談を言う。


いや、誉君は至って真面目かもしれない。


隣を歩いていると、たまに肩がぶつかったり、手が触れたりする。
その手がスルリと私の小さな手を慰める様に撫でるから、温もりを逃すまいとギュッと握る。

すると、気持ちに応えるように何も言わずに誉君も握り返してくれるから、それだけで胸がくすぐったい。






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