天使のような僕の彼女
別の女性、というのは隣のクラスの
相原(あいはら)さん。

時は昨日に遡る。

学校が終わり、1人とぼとぼと
帰宅していた時の事だった。

肩をトントン、と叩かれ、
振り向くと相原さんが居たのだ。

「優希くん、今、ちょっといい?」

「え?あぁ、うん」

小さく頷いた僕に相原さんは首を傾げた。

「優希くん、って彼女とか、いる?」

「え?」

今思えば、この時にちゃんと
‪”いない‪”と言っておけば良かった。

なのに僕は……

「いない、よ」

なんと嘘をついてしまったのだ!

「えっ、ほんと!?」

それが嘘とも知らず、
相原さんは頬にエクボを
浮かべてキラッキラな笑顔を僕に向けた。

ハートを盗まれた瞬間だった。

「実はずっと優希君のこと好きだったの。
あたしと付き合ってくれませんか?」

「え!?」

僕はすさまじく鼻の下を伸ばしていた。

陽葵には中学の時、
自分から告白して付き合った。

つまり僕は告白を‪”した‪”事はあっても
‪”された‪”事は人生で1度もなかったのだ。
< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop