ラストオーダー
またノイズまみれの彼からの手紙が届いた。机の上に現れた紙はたった一枚。いつもは数枚にわたるそれが今回は極端に短い。
最後のテレビ通話から十年近く経っていた。毎週送られてくる手紙の内容は、彼や周りの人たちの生活を記した取り留めのないものだ。今週はどの保存食が美味しかったとか、誰それが何をしたとか。もっぱら彼のいる施設のことを記していて、外のことには全く触れられていない。状況が悪化しているのは、話に出てくる人の数が届くたびに減っていることから推し量れた。
手紙からは、出来事を記すばかりで彼の心のうちを覗くことはできない。それが違ったのは、先週の手紙のことだ。書き出しは、ついに最後の友人が死んだという報告で、彼自身に残された時間も残り少なく、次の手紙が、私に送る最後のものになるだろうと綴られていた。
最後のテレビ通話から十年近く経っていた。毎週送られてくる手紙の内容は、彼や周りの人たちの生活を記した取り留めのないものだ。今週はどの保存食が美味しかったとか、誰それが何をしたとか。もっぱら彼のいる施設のことを記していて、外のことには全く触れられていない。状況が悪化しているのは、話に出てくる人の数が届くたびに減っていることから推し量れた。
手紙からは、出来事を記すばかりで彼の心のうちを覗くことはできない。それが違ったのは、先週の手紙のことだ。書き出しは、ついに最後の友人が死んだという報告で、彼自身に残された時間も残り少なく、次の手紙が、私に送る最後のものになるだろうと綴られていた。
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