君と一番の恋をする
足音が近づいてきて、それは私のすぐ後ろで止まる。
心臓が一つ、大きくどくっと鳴った。
「よかった。先輩、止まってくれて」
「……どうしたの?なにかあった?」
振り向いて話したら、きっとまた誤解される。それがふいにでもまーほの耳に入るのはいやだ。
だけど、別に喧嘩してるわけではないし……無視はできない。
「……先輩」
「なに?」
なにを言い出すんだろうか。今度はどきどきと鼓動が不穏な音を立てた。
「……冬休み、俺とデートしてくれませんか」
「……えっ?」
私は予想外の言葉に、後ろへ振り返ってしまう。
「やっと、こっち見てくれました」
そして、陸人くんはうれしそうに笑った。
……なんで、そんなことを言うんだろう。笑うんだろう。
思わせぶりが過ぎる。
「……デートって、なんで?だって、陸人くんは……!」
―――まーほのことが、好きなはずなのに。
そう口から出かけそうになって、慌てて口を噤む。私が言っちゃいけない。