君と一番の恋をする

side 真由帆


―――二年三組、磯田侑人先輩。

テニス部所属で、私のクラスメイト、磯田陸人の兄。


知らなかったわけじゃなかった。5月……くらいからだろうか、姉がその人について話しているのを聞いていたから。

どうやらその“侑人先輩”には好きな人がいるらしく、なかなか進展できずによくお姉ちゃんに相談しているらしい。
恋バナとか正直私は興味ないし、わざわざお姉ちゃんに聞くことでもなかった。


恋とか恋愛とかする気はさらさらない。
……誰かを好きだって気持ちさえまだ知らない私には、無縁すぎる話。

知らなくても生きていけるから。


あんな風に苦しい思いをするくらいなら、知らないほうがいいと思った。

まあ、実際に経験なんてしたことないから、分かんないけどね。


なのに、不本意にも気が付いたら巻き込まれていた。

2学期中間テストが終わったあと、侑人先輩に出かけようと誘われた。

めんどくさいなって思ったけど好奇心のほうが勝って、私はそれを承諾した。

まあ、お姉ちゃんの友達なら悪い人ではないだろう。

その日は多分初対面だったけど、当日は意外と話せたし楽しかった。
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