君と一番の恋をする
「で?まさかそんなバカみたいな用件で私の大切なみっじかーい放課後を奪ったんじゃないだろうね?聞いてんの?」

「聞いてるわ。“バカみたいな”っていうなよ。正確には“フラれた”っていうより“嫌われた”だけど。いつからか態度が冷たくなっていったから。でも俺、もう一度頑張るって決めたんだけどな」

「なにを」

「……俺のこと、好きになってもらえるように。見込みはなさそう、だけど」



……こいつ、ほんとにお姉ちゃんのこと好きなの?傍から見てれば、お姉ちゃんが誰を好きかなんて明白なのに。

自分に向けられた好意は、近すぎて見えないのかもしれない。



「どうしたの。普段な高飛車な陸人くんはどーしたんですかー」

「うるせえ。……先輩の前だと、普通じゃいられないんだよ。なんもうまくいかない」



陸人はくしゃっと前髪を撫ぜる。

それが妙にかっこつくのが、ちょっと癪だ。



「陸人はもう、出来ることはやったんでしょ?ならあとは、なるようにしかならないんじゃない。運命だったらうまくいくし、そうじゃなかったら終了」

「はっきり言うな、お前」

「じゃないと意味ないでしょ」

「……分かった。もう一度、頑張る。かけてみる。なんかありがと、真由帆」


「じゃ、これで話は終わりね」
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