君と一番の恋をする
「あ、あと1個」

「は?まだあるの」



さすがにそろそろ家に帰ってゲームしたいんだけど。用件は一つにまとめてから話してほしいと思いながら、ドアに向かう足を止める。

それで、なにを言い出すのかと思ったら。



「……お前の姉貴、もらっていいか」

「あー、まあ、いいんじゃない?陸人なら」



予想外の反応だったのか、本人は驚いたような顔をしていた。

いや、そこまで?ってくらい。

だって、分かってたでしょ。“リンゴは果物ですか?”ぐらいと同等の質問だわ。



「まあ、あんたがお姉ちゃんと付き合えるかどうかは置いといて。お姉ちゃんのこと傷つけたら、許さないからね。あんなポンコツでも、一応私の姉なんだから」

「言われなくても分かってるわ。俺、お前の姉貴のこと本気で好きだし」



とかいうのを真面目に言い出すので、私は思いっきり引いた。



「うっわー、セリフきっつ。言うなら私じゃなくてせめて本人に言ってあげなよ。てかあんた、敬語外れると口悪いよね。お姉ちゃんの前では気をつけなさいよ」

「分かった。頑張る、けど」

「なにその曖昧な返事」



私はそう冗談っぽく笑い飛ばす。

正直に言うと……うまくいってほしいって思ってるよ。ほんとに。

まああとの二人のことなんて私が知ったこっちゃない。

全ては、お姉ちゃんと陸人の行動次第だ。
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