君と一番の恋をする
二年三組の教室の前に着き入ろうとした瞬間、突然右手首を掴まれた。
その力は強くて、手が大きい気がする。男子?侑人?
でも、侑人はこんなことするタイプじゃないしな……。と思いながらそっと後ろを見る。

すると、そこにいたのは見知らぬ男子生徒だった。
それに、けっこうな美形。こんな顔うちの学年にはいないはず。三年生か一年生?だけど、どっかで見たことある気がした。


「あ、あの、どなた、でしょう?」
「……今から、一緒に屋上に来てくれませんか」


敬語だったから一年生なんだろうけど、有無を言わさない表情と逆らえなさそうな圧力にうまく言葉が出てこない。
ど、どうしよう。そう思っていると。


「……え、ちょっとっ」


しびれを切らしたのか、ついに私の腕をひっぱって歩き出した。この人が、私をわざわざ屋上に連れ出す理由が分からない。
だって、話したことなんてないはずだし、会ったことだってきっとない。
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