君と一番の恋をする

「優しくて妹思いなところが好き。明るくていつでも元気だけど、それは自分の気持ちを隠すための強がりだってところも好き。いざとなると臆病になるところとか、やっぱりどんくさいところとかも好きです。先輩の大声も好きだし、なにより、先輩の存在自体が好きで、全部がたまらなく愛おしい。あと真っ赤な顔も、俺は好きです」



指摘されると、さらに頬が熱くなる。こんなに真正面から気持ちを伝えられたことなんて、なかったから。



「たとえ先輩が自分のことを嫌っていても、俺が先輩を好きでいます」



ぽろりと、涙が頬を伝う。

うれしい。ありがとう。そんな言葉が、私の頭の中をめぐる。

思ってもみなかった。私を好きでいてくれたなんて。

だけどこんなに言われてしまえば、信じざるを得なくなる。



「……私も陸人くんのことが、好きです……」



伝えるつもりはなかったのに、想いが溢れ出てきて止められなかった。
陸人くんは少し驚いたような顔をした後、私を優しくぎゅっと抱きしめた。

どちらのか分からない早鐘を打つ心臓の音が身体に響く。



――――私を好きになってくれる人なんていない。だって隣にはいつも、まーほの存在があったから。

だけど陸人くんは、私に私を教えてくれた。

何もない私を好きになってくれた。

“何もない”なんて、さっきの言葉を聞いた後じゃ怒られるかもしれないけど……。


真冬のはずなのに心は暖かくて。

まるでクリスマスをお祝いするかのように、パラパラと無数の真っ白な雪が空から舞い降りていた。


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