君と一番の恋をする
「あ、あのっ、屋上じゃないとだめなの?」
「だめ」


そう言葉が瞬時に返ってくる。
だめか、なら仕方ない……とはならないよ!
とりあえず手は離してくれなそうにないので、そのままついていくことにした。

四階の端まで来て、階段を上がる。この先にあるのが、屋上の入口だ。
男子が扉を開けると、涼しい風が舞い込んできた。


「うっ、寒いっ」


私は低い気温に思わずそうつぶやき、半袖から出た左腕を空いている右手でこする。
お弁当食べてたときは気が付かなかったけど、そりゃ寒いよね。もう秋だし。

私はひっぱられたまま、誰もいない屋上のど真ん中まで来てしまう。


「あの、どうしてこんなところにっ?」


そう叫ぶと、男子生徒はお弁当の袋を持ったままの私の左手首を離した。
そして、こっちに向き直ってまっすぐ見つめてくる。

視線が一直線で、ドキッとしてしまう。
距離は二メートルもない。

数秒経ち、息を小さく吸った男子生徒が、口を開いた。
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