君と一番の恋をする
それから今まで下校はいつも一人だったんだけど、最近は陸人くんと一緒に帰ってる。部活の終わる時間もあんまり差がないし。
だけど登校は、陸人くんは朝練があるから一緒とはいかないんだけど。

でも、下校だけでも帰れるのはうれしい。“それだけで”なんて陸人くんは言うけれど、私にとっては毎日のご褒美みたいだ。

というセリフは、私には似合わないかもしれないけど。


「……先輩、もう少し俺とのことも考えてくれませんか」
「え?考えてるよ。楽しいなーとか」


下校中駅のホームで突然そんなことを言い出した。
私は答えるけど、陸人くんは微妙そうな顔をする。
あれ?違ったかな。


「まあ、それも俺としてはうれしいですけど。そういうことじゃなくて、付き合ってるんだから呼び方変えるとかのことです」
「ああー、なるほど」


私は理解する……けど、疑問に思う。

恋人同士になったら、少しずつ関係を変えていかなきゃならないのかなって。
身近なところだと絵筆ちゃんと清くん。私は二人のことを付き合う前から知っているけれど、特に変わったところはなかった。まああそこは幼なじみだから、参考にはならないかもしれないけど……。
< 143 / 150 >

この作品をシェア

pagetop