君と一番の恋をする
「あ」

「先輩、分かってますか?」

「え」

「俺、侑人に妬いてるんです。どうせ、そんなことあるはずないとかって気付かないふりしてるんでしょうけど、忘れないでください。俺先輩のこと先輩が思ってるより好きなんですから」

「ふえ」



真正面からくらった甘い言葉に、変な声が出る。
触れられた部分が熱くて、感覚がない。


「返事は」

「は、はい」

「それでいいです」



陸人くんは満足したような笑みを浮かべて立ち上がり、私を引っ張った。
バランスを崩してよろければ、ぎゅっと抱きしめるように受け止める。


「わ、陸人くん……っ!」



ホームに誰もいなくてよかった。問題はそれだけじゃないけど。
心臓の鼓動は壊れそうなくらい速くて、ちょっと苦しいくらいだ。

そのとき電車がホームに入ってきた。
さすがに離してくれたけど、これが教室だったらどうなってたことか。

そろそろ本気で、しんでしまうかもしれない。
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