君と一番の恋をする

「麻里花、乙女の顔してるー。なーんか幸せオーラがにじみ出ちゃってるんですけど~」


絵筆ちゃんと奈央ちゃんと中庭でお昼を食べていると、奈央ちゃんが口を尖らせた。
自分では自覚がないけど……。


「ほんとに麻里花ちゃん、幸せそう」
「そ、そうかな~」

「いいなーっ、私も恋したーいっ!」



と叫びだしたので、数人の視線がこっちへ向く。

奈央ちゃんは、文化祭前に侑人に失恋したばかりだけど……。新しい恋を始められるくらいにはなったのかもしれない。奈央ちゃんも侑人のことを完全に吹っ切れた、のかな。



「といっても、身近にタイプの男なんていないし」

「北島さん」

「うわっ」



奈央ちゃんが驚いたような声をあげる。



「―――と、麻里花に宮田さん」
「そ、奏太くん?なんでここに?」



目の前に現れたのは、なぜか奏太くん。と……。


「清が、宮田さんに会いたいって言って」



隣には、清くんの姿があった。正確には、もうすでに絵筆ちゃんと楽しそうに話しているけど。



「そうなんだ」
「早瀬、私のこと急に驚かせないでよ。びっくりしたじゃない」



奈央ちゃんは奏太くんを軽く指差して文句を言う。
だけど奏太くんはいつもの調子で「ごめんごめん」と軽く受け流していた。
あれ?この感じ、なんか見たことあるような。
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