君と一番の恋をする
もし……奏太くんが部長になったら。きっと、今よりも話す機会が増えるんだろう。
幼なじみと言ってももうずっと話していないし、家が近いってだけで隣同士ではないから会う機会もほとんどない。
元カレでもあるまいし、私が勝手に気まずいって思ってるだけだろうけど。

というかそれ以前に、部長の話はあくまでうわさってだけだしね。
動揺したことを悟られないよう適当に返事をした後、話題が変わる。


「そういえば麻里花、このあと用事ある?」
「ないけど、どうしたの?」

「駅前にかわいい雑貨カフェができたんだよね。一緒に行かない?」
「え、ほんと?いいよ、行こう!」
「やったー!ありがと!」


楽しそうに隣ではしゃぐ美葉ちゃんだったけど、なぜか急に足音を止めた。
私もつられて立ち止まる。美葉ちゃんの視線の先は下駄箱。


「え、どうしたのみよちゃ……」
「しっ」


尋ねた口をばっと塞がれ、何事かと慌てて下駄箱を見る。
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