君と一番の恋をする
全学年ここの下駄箱を使っているから結構開けた場所なんだけど、すみっこで気が付くのが遅くなってしまった。
そこにいたのは、二人の男女。


「す、好きです。付き合ってください!」


そんなセリフが微かに聞こえ、女の子のほうが頭を下げる。……これは、まぎれもなく告白だ。

盗み聞きなんていけないって思うけど、二年の下駄箱に行くには二人の前を通らなければならない。
美葉ちゃんもそれに気が付いて足を止めたんだろう。

そう考えて隣を見ると、美葉ちゃんは目をきらっきらにさせて告白現場をガン見していた。
えっ、ちょっとちょっと!?

そしてそれから数秒後。


「……ごめん。俺、今誰とも付き合う気ないんだよね。だから、ごめん」


男のほうが、女子生徒をキッパリバッチリ振っていた。これまたまぎれもない断りのセリフ。


「……っそうだよね。ごめんね、急に呼び出したりして。じゃ、じゃあまた明日」


女の子は鞄を肩にかけて走り去ってしまう。男の子はというと、こっちは上履きからローファーに履き替えてから校舎を出た。
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