君と一番の恋をする
早く来たから暇になる予定だったし、ちょうどよかったのかも。
私は廊下を歩いたあと、一階まで階段を下る。
この学校には体育館裏にゴミ置き場の建物があって、そこに入れられたのをゴミ収集車が回収していくしくみ。

まだ生徒があまりいないからか、校舎内がすごく静か。たまにはこんなのもいいかな。
私はそう思いながら、校舎裏へ続く一階の生徒玄関から外へ出た。
そのまま隣の体育館へ向かう。


というか、ちょっと重すぎじゃないかな。これ。
これは、廊下にある大きな掃除用具入れから持ってきたやつだよ絶対。
私はゴミ置き場まで着き、扉を開けて中へ入る。

そして、袋を置いて出てから鍵をかけた。
よし、これで終わり!
手をはたいてからその場を去ろうとしたとき、体育館の中から激しい音が聞こえてきた。


タンタンッと気持ちのいいリズミカルな音。
これは、バスケ部の朝練でもしてる?
時間もあるし、せっかくだからちょっと覗いてみようかな。

私はそう思い立ち、さっそく表側へ回って閉まっている体育館の扉を開けた。
するとやっぱり、バスケ部がちょうど試合をしているところだった。
前コートは男子バスケ部、後ろコートは女子バスケ部みたい。
朝なのに、周りに結構人がいる。

というか、女子バスケ部ってことは……。
ピピーッとホイッスルが大きく鳴り響き、女子バスケ部の試合が終わった。

「今日はここまでー!」と声が聞こえ、今の試合で最後だったみたい。
邪魔にならないよう端のほうによる。
男子バスケ部のほうはまだ試合が続いていて、奪い合うようにゴールへどんどんボールが入る。

わ、すごい。


少し遠いから見えにくいけど、今確実にスリーポイントシュートが入った。
私は運動なんて全然だめだから、こういうのを見るとすごいなあって感動してしまう。
すると、さっきのスリーポイントシュートの男の子がまた点を入れる。

男子バスケ部の練習試合なんてちゃんと見たことなかったから、迫力満点でドキドキだ。
そのまま夢中になってしばらく観戦していると、近くに寄ってくる人影がちらりと見えた。
< 3 / 150 >

この作品をシェア

pagetop