君と一番の恋をする
「陸人くん、テストお疲れ様!どうだった?」
「まあまあでしたね。そして、俺の話は今いいです。テストは関係あるけど」


季節はもう完全に秋で、さすがに私も陸人くんもシャツは長袖だ。屋上の風は冷たくて、袖から出る両手は少し冷たい。


「今日は、侑人のことで先輩に報告です」


侑人の、こと……。まーほとのデートの話か。そういえば、テスト終わったら誘うって言ってたっけ。


「侑人が昨日の夜、デートプランはどうしようとか聞いてきたんですけど」
「え、ええっ!?もうそんな段階まで言ったの!?」
「いや、まだ誘えてはいないらしいんですけど」
「いや、誘えてないんかいっ」


と、私がツッコミを入れた瞬間だった。
ガチャリ、と今絶対聞いちゃいけない不穏な音がした。声にならない空気がのど元を掠め、さすがの私も冷静になる。


「ま、まさかとは思うけど陸人くん」
「……はい」

「私たち、屋上に閉じ込められた……とか?」
「……はい」


はいはいbotか君は!とツッコんでいる余裕はなかった。
閉じ込められたって、ど、どうしよう———!
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