君と一番の恋をする

確かめるように何度かドアノブを動かして押したり引いたりしてみたけど、全然ダメ。やっぱり、鍵がかかっている。
まずは連絡しなきゃ。と思ってスカートのポケットをあさるけど、スマホが見つからない。これ、持ってないやつだ。


「陸人くんスマホ持ってる?私教室に置いてきちゃったんだけど……」
「俺も、教室ですね」


なんて言うけど、表情はあまり焦ってなさそう。
まあでも、なんとかなりそう……。


「いやでも、連絡手段ないよ!?なんとかなんてならないよ~!」

私が膝をつき頭を抱えていると、「先輩、声大きいです」と余裕そうな声が聞こえてくる。
今の時間は、多分五時くらいだ。秋だから日が落ちるのも早いし、どうにかして屋上からでなければ。


陸人くんが座ったので、私も姿勢を整えてその場で体育座りをする。
どうしよう。このまま本当に出られなかったら、お母さんたちが心配するよね。
陸人くん家だって、きっと……。
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