君と一番の恋をする
もし今日部活があったら、グラウンドに向かって大声で叫ぶとか、いくらでも方法はあった。
でもまさか、こんな偶然が重なるなんて思わないし。
余裕そうな感じの陸人くんでも、きっとちょっとくらいは不安なはず。

こ、ここは、先輩の私がなんとかしなきゃ。
……そうだ!

私は四つん這いになって陸人くんに近づき、正座する。


「……なんですか」
「陸人くん。私と手遊びしない!?」
「は?何言ってるんですか、あなた」


両手を広げて自信満々に言ったのに、即座にツッコまれる。
というか、出会ったときよりツッコミの速さに拍車が掛かっている気がする。
これが本来の陸人くんなのかも。と思うと、ちょっとは心開いてくれてるのかなってうれしくなった。


「だって、もう秋だよ。寒いからさ、手を動かしたら温かくなるかなって」
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