君と一番の恋をする
「えっ?」
「着ないんですか。寒いんじゃないんですか」
「な、え?」
「てか、あの人誰ですか」
「……え?」
陸人くんが詰め寄ってきたので思わず後ずさりすると、バッと右腕を掴まれた。
整っているきれいな顔がほんの十何センチ先にあって、ドキッとしてしまう。
これが、美葉ちゃんの言っていた無自覚女キラーの威力……。
って、そうじゃなくて。
今陸人くん、あの人は誰かとか言ってなかった?
「あ、あの人……とは」
そのガラス玉みたいな瞳から放たれる視線に耐えられず、若干目を逸らしながら問う。
陸人くんは顔の距離を元に戻し、それでもなぜか手は離さないまま口を開いた。
「先輩が“奏太くん”って呼んでた人です」
「そ、奏太くん?えっと、苗字は早瀬、吹部所属で二年六組?」
意図の読めない質問に答えながら、自分でもよくわからずに疑問形をつけてしまう。
だって、誰だって聞くなら奈央ちゃんと二人セットで聞くはずだよね?
奈央ちゃんのことは知ってたとか?それなら納得だけど。
でも、本人の陸人くんは納得してないみたいで、なんともいえない表情をしていた。
―――まもなく二番線に、列車が参ります。黄色い線より内側に―――。
「着ないんですか。寒いんじゃないんですか」
「な、え?」
「てか、あの人誰ですか」
「……え?」
陸人くんが詰め寄ってきたので思わず後ずさりすると、バッと右腕を掴まれた。
整っているきれいな顔がほんの十何センチ先にあって、ドキッとしてしまう。
これが、美葉ちゃんの言っていた無自覚女キラーの威力……。
って、そうじゃなくて。
今陸人くん、あの人は誰かとか言ってなかった?
「あ、あの人……とは」
そのガラス玉みたいな瞳から放たれる視線に耐えられず、若干目を逸らしながら問う。
陸人くんは顔の距離を元に戻し、それでもなぜか手は離さないまま口を開いた。
「先輩が“奏太くん”って呼んでた人です」
「そ、奏太くん?えっと、苗字は早瀬、吹部所属で二年六組?」
意図の読めない質問に答えながら、自分でもよくわからずに疑問形をつけてしまう。
だって、誰だって聞くなら奈央ちゃんと二人セットで聞くはずだよね?
奈央ちゃんのことは知ってたとか?それなら納得だけど。
でも、本人の陸人くんは納得してないみたいで、なんともいえない表情をしていた。
―――まもなく二番線に、列車が参ります。黄色い線より内側に―――。